糖尿病の講義準備の傍ら、同僚と雑談。その中で75g経口ブドウ糖負荷試験の話になった。普通の人間は食事などで一時的に高血糖に陥っても、インスリンが分泌されて組織に糖が取り込まれ、2時間くらいで元の値に戻る様になっている。だが糖尿病患者はインスリン作用が弱いため、2時間経っても高血糖が維持されることが多い。そこで無理やり糖を経口投与し、30分なり2時間後の血糖値を測ることで、糖尿病の検査・診断ができるわけである。この検査ではトレーランGという医薬品を使うが、内容は何のことは無いただの炭酸水である。ただし、むちゃくちゃ甘い。レモン味などが添えてあるので飲みやすくはあるが、キリンレモンに砂糖をぶち込んだ甘さとでも言えばいいだろうか。脳天を劈く甘さである。(あれは甘いですよね。激甘ですよ)と、かつて75GOGTTを試した経験を私が話した。すると(あれは実は、ブドウ糖の甘さじゃないんだよね)と同僚が云う。云っている意味が最初はわからなかった。トレーランGには75gものブドウ糖が含まれている。砂糖で云えばスティックシュガー25本分である。それが甘くないとしたら、いったい何があの甘さの元なのだろう?すると同僚はロッカーから「ブドウ糖」と書かれた袋を持ってきた。お菓子店で買ったもので、研修用だという。ひとかけらいただいてかじってみる。甘くない。ほんのり甘さはあるが、砂糖の甘みとは全く違う、和菓子でよく使われる和三盆のように、すっと流れて何も残らない。コクもパンチも無い味である。(ブドウ糖ってのは、そんなに甘く感じないんだ)と同僚は言った。ではトレーランGの激アマの下は何か?トレーランGの添付文書を見ると、デンプン部分加水分解物100g(ブドウ糖75g)とあった。デンプン部分加水分解物とはつまり、とうもろこしなどの伝聞に水を加え、酵素で糖化したものである。そのうちブドウ糖が75%、のこり25%はデキストリンやマルトースなど。その残り25%が、あの劇的な甘さの元になっているのだそうな。考えてみればブドウ糖を口にする機会というのはそう無いが、味については全く考えたことが無かった。今日はとにかく新鮮な体験ができた。